お子さんがスイミングに通っている方は、結構多いんじゃないでしょうか?習い事ランキングでも長年1位を獲得しているのが「スイミング」です。その割合はなんと約40%!ちなみに、学校教育の体育の授業にも「水泳」はあります。この違いはなんでしょうか?
文科省によると、学校教育における水泳の位置付けは下記の通りです。
水の物理的特性を理解することが、「水泳系で求められる身体能力を身に付けること、また、水中での安全に関する知的な発達を促すこと、さらに、水の事故を未然に防ぐ論理的な思考力を育むこと」の学習
文部科学省 平成26年 学校体育実技指導資料 第4集 水泳指導の手引
このうち、前半の「身体能力を身につけること」に特化しているのがスイミングスクールになります。それに対して「水の事故を未然に防ぐ論理的な思考力を育むこと」に特化した指導方法があるのはご存知でしょうか?それが、これから紹介する「ISR」です。この記事では、
- ISRとは?
- ISRの日本での状況
今回の記事では、最近注目されている「ISR」に関する情報をまとめて、紹介させていただきます。
ISRとは?
ISRとはInfant Self-Rescueの頭文字をとったもので、直訳すると「幼児の自己救助」になります。ISRがどんなものか説明するには、下記の動画を見ていただくのが早いと思います。
動画を見ていただけた方は、お分かりだと思いますが、生後2ヶ月の赤ちゃんをプールに浮かべたり、足のつかないプールに自ら飛び込んで、足のつく岸辺までもがいて辿り着いたりと、衝撃的な映像です。
ああ、なんて酷いことをするんだ、、、
というのが僕の最初の感想です。しかし、動画後半に語られている意義や、ISRのHPなどをみていると、なるほどと思える情報がありました。これ以降では、ISRのことをわかりやすく説明するために、一般的な日本のスイミングスクールと比較しています。
ISRとスイミングとの違い
ISRと日本の一般的なスイミングスクールには様々な違いがあります。これらの違いを理解しておかないと、先ほどの動画を見たときにも
ああ、なんて酷いことをするんだ、、、
という風に感じてしまいます。そんな様々な違いを紹介します。
目的
- ISR:水に落ちても、自分の命を自分で守ること
- スイミングスクール:きれいに速く泳げること
ISRの場合は、速さに特化した効率的なフォームなどは度外視しています。だから、息継ぎは仰向けになるし、無理に手足をバタバタさせて体力を消耗しないような動きになります。
目標
- ISR:一人で足のつかない場所でも呼吸&前進できること
- スイミング:様々・・・クロール/4泳法/制限タイムなど
スイミングは25mプールを使って、飛び込み台から合図に合わせてスタートします。ISRでは、プールの長さよりも深さが深いプールを使ってやるので、自宅にプールがあるお家では家庭教師のように先生が訪問して教えてくれます。さすがアメリカ。スケールがでかい。
始める年齢
- ISR:2ヶ月ごろから
- スイミング:3歳ごろが推奨されている
(日本の)スイミングスクールでは、早くても首が座る6ヶ月ごろからスイミングに通い出せるようになります。ISRでは、首も座っておらず、まだ沐浴をしているような赤ちゃんでも、プールに入れられてゆらゆらとトレーニングをはじめます。動画などを見ている限りは、この時期の赤ちゃんはあまり水を怖がらないようで、おとなしく先生になされるがままになっています。
これを見ていると、6ヶ月の我が子がスイミングスクールで水を飲んでしまってゲホゲホしていても、「ISRやっている子なんて、こんなの日常茶飯事やで」と思うことができて、過剰に心配することがなくなります。笑
ISRの日本の状況
現在、Googleで調べる限り、日本でISRを教えてくれるスイミングスクールはありません。水害事故などには有効な教育方法だとは思うので、普及しても良さそうな気がしますが、残念です。
ちなみに、ISRを教えるためにはISR認定トレーナーの資格を取る必要があるようですが、諸外国では認定を受けていない闇トレーナーも多々活動されてるようで、団体が警告しています。お子さんの命がかかっているトレーニングなので、今後コーチを選ぶ際には注意したいですね。
まとめ
ISRはまだまだ日本では情報が少なく、教えているスイミングスクールもありません。しかし、「万が一のための自己防衛」という意味では日本の学校で教えてもらう水泳と同義です。今後の普及に期待しています。
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