
いくらでもあげるから、好きなフレームに乗ってもいいよ。
なにが欲しいんだい?
もしもあなたが、こんなことを言われたらどうしますか?

(あ、怪しい…)いえ、今乗っているフレームが体にフィットしていて、
できれば乗り換えたくないです。
なんて、”強がり”を言うでしょう。いや、あながち強がりでもないかもしれません。
バイクとの出会いは一期一会。体にフィットしたものに出会うと、どんな高級品よりも乗りやすく、最高の相棒になります。
だからこそ、なかなか買い替えの時期を判断するのが難しいんです。
ロードバイクだけを趣味にしているならともかく、トライアスロンともなると、レースではTTバイクを使うので、ロードバイクは練習でしか使わず、そう頻繁に買い換えるのももったいない気がしてしまいます。

アスリート
ま、私は毎シーズン、機材を一新しますけどね。
今はcervelo S5だけど、次はS-WORKS VENGEでも買おっかなー

だ、だまれ、上級国民が!機材に頼らず、エンジン性能上げろ!
(羨ましいなあ、、、)
という方も珍しくないので、年式の新しいフレームに囲まれるライドなんかは、肩身が狭いです。(上記会話は実体験です。)
しかし、僕のように、切り詰めて切り詰めて、趣味のトライアスロンに投資する家計は最小限に抑えたい人も多いのが事実。
では、僕ら「一般国民」は「上級国民」の自慢話に、一生悔しい思いをするしかないのでしょうか?
いや、そんなの絶対に嫌だ!スポーツの前では世界平等だってオリンピックでも言ってるし!
数字で見ると、トライアスロン競技者の平均年収は一般平均の倍以上あるということがわかっています。
だから、こういった上級国民に出会うことも珍しくはないはず。。。
そこで、一旦冷静になって考えてみました。なぜ、新調する必要があるのか、新調することによるデメリットはないのか?
それをまとめると、下記のようになります。
メリット | デメリット |
ピカピカしていて気分がいい | 出費が大きい(20〜100万円) |
人に自慢できる | サイズが合わないかもしれない |
飽きたフレームとおさらばできる | コンポ変更の可能性あり (ブレーキ、変速など) |
こう比較してみると、やはりお金があったらどんどん買い替えていきたいものです。。。
だけど、「サイズが合わないかもしれない」というのは、シビアアスリートにとってはゆゆしき事態ではないでしょうか?
逆に、「飽きたフレームとおさらばできる」とは、なんたる無礼!苦楽をともにしたフレームが泣いていますよ!
(いや、お前が勝手に書いた項目やろ。)
そこで、ケチな一般国民の僕は一つの奇策を思いつきます。そして実行します。その結果が下記のとおりです。


おわかりいただけただろうか。。。そう、すでにお気づきかもしれませんが、僕の思いついた奇策とは、
「フレームのセルフ塗装」のことです!みなさんも、一度は頭をよぎったことがあるのではないでしょうか?
本記事は「安く憧れのロードバイクを手に入れる方法」と題しまして、その方法と、実際にやってみた体験談をまとめさせていただきます。
最後まで読んでいただき、あなたも憧れのフレームを手に入れてください。
※ロゴは自作のステッカーです。某メーカーのものにそっくりですが、販売目的ではないので、お許しください。
セルフ塗装のメリット
セルフ塗装のメリットは、主に下記の項目です。
- 安い
- 早い
- 世界に1台のデザインになる
ひとつずつ詳細を説明します。
安い
僕の場合は、塗装に必要な材料費は約6,300円でした。ついでにワイヤー類は交換するので、それを合わせても1万円未満です。
塗装専門業者にお願いすると、5万円以上はしてしまうので、それに比べるとぐっとお安くなっているので、仮に失敗してやり直しても全然損はしません。
項目 | 金額(円) |
脱脂シート | ¥ 350 |
プラサフ | ¥ 1,000 |
カラースプレー | ¥ 1,000 |
クリア | ¥ 2,500 |
ロゴステッカー | ¥ 1,000 |
マスカー | ¥ 300 |
耐水ペーパー | ¥ 50 |
ゴーグル | ¥ 100 |
合計 | ¥ 6,300 |
早い
塗装工程は合計4日かかりました。乾燥のために放置する時間が長いので、平日の仕事終わりにやってました。
塗装専門業者にオーダーすると、2,3週間かかってしまうので、土日を使わずに作業が完了するので、お出かけの予定を変更しなくてもOKです。
工程 | 所要時間 |
ヤスリ&洗浄 | 1時間 |
塗装①:プラサフ | 15分 |
乾燥 | (4時間以上) |
ヤスリ | 30分 |
塗装②:カラー | 15分 |
乾燥 | (1時間) |
塗装②:カラー(2度塗り) | 15分 |
乾燥 | (1時間) |
ステッカー貼り | 15分 |
塗装③:クリア | 15分 |
乾燥 | (4時間以上) |
作業時間合計 | 2時間15分 |
世界に1台のデザイン
フレームデザインの自由度で言えば、メーカー各社も下記のようなサービスを実施しています。
- project One (TREK)
- MyO(ORBEA)
- カスタムラボ(CANONNDALE)
- カラーオーダー(ANKER)
しかし、実際にはデザインの種類が限られていたり、フラッグシップモデルのみ対応していたりと、価格や自由度においては満足できる内容ではありません。
専門の塗装工程なので、クオリティに関してはピカイチですけどね。。。
塗装方法の比較
これまで紹介したように、セルフ塗装以外にも選択肢はもちろんありますが、それぞれを比較すると下記の通りになります。
セルフ塗装 | 塗装業者 | メーカーサービス | |
費用 | 1万円未満 | 5万円前後 | 30万円以上 |
納期 | 1週間以内 | 2,3週間 | 2,3ヶ月 |
自由度 | ◎ | ○ | △ |
出来栄え | △ | ○ | ◎ |
このように、様々な点で有利な方法といえます。
出来栄えについては、丁寧に作業すれば問題はありませんし、さきほどの写真を見ても
「ん?ここの塗装はひどいなこりゃ!」ってものも気づかなかったと思います。
他人から見る目を気にする人も多いですが、細かなところが雑だったところで、だれにも気づかれませんよ。笑
気になるあなたのために、記事の最後には失敗箇所についても紹介させていただきます。
セルフ塗装の手順
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ようやく手順の説明をさせていただきます。
準備するもの
①脱脂シート
ロードバイクは油汚れや皮脂で汚れています。汚れの上から塗装してしまうと、簡単に剥がれてしまったり、汚れからヒビになったりしてしまうので、塗装前には十分に”脱脂(油を除去)”する必要があります。
脱脂剤などを使うのもいいですが、量が多くてあまり他に使う機会もないかとおもうので、少量でさっと使えて、そのまま捨てられる「脱脂シート」を準備しておくといいかと思います。
②プラサフ
プラサフとは、「プライマー」と「サーフェイサー」が一体になった下地塗料のことです。
※プライマーとサーフェイサーについてはここでは説明しないので、気になる方は調べてください。
実際の色を付ける前に、塗料の接着性を上げて、表面を平坦にするものです。
これをやらずに塗装をしてしまうと、すぐに剥げてきてしまったり、ムラになってしまうので、ケチらず十分な量用意しておきましょう。
どのみち色を付けてしまうので、どんな色でもかまいません。汚れや塗忘れがないように、元の塗装とはっきり違いのわかる色をつかうといいかと思います。
③カラースプレー
実際に見える色を入れるためのスプレーです。塗装にあまり詳しくない方は、速乾性のものを選ぶのがおすすめです。
塗りすぎたり、乾燥がうまくできていなかったら「液垂れ」の原因になってしまうので。
個人的には、近所のホームセンターに売っていた「ラスト・オリウム」の迷彩シリーズがお気に入りです。
他にも色を出していて、複数色を使い分けると迷彩柄が作れるようになるそうです。
(塗装ムラとかがあれば、迷彩柄にしてごまかそうとしていたので。笑)
④クリア
クリアは表面仕上に使う塗装剤です。ツヤありとツヤなしがあるので、お好みに応じて使い分けてください。
ツヤありは汚れが目立つのと、塗装ムラも目立ちやすいので、個人的にはツヤなしがおすすめです。
⑤ラッピングシート
ラッピングシートはロゴなどを作成する場合に使用するシールのようなものです。
カッティングプロッターや、カッティングボードを使った細かな作業が必要になるので、慣れていない方や不器用なかたにはおすすめしません。
※メルカリなどのフリマサイトで、ロゴステッカーなどが売っていますが、商標法や不正競争防止法に触れる可能性があるので、絶対に購入しないようにしてください。
⑥その他もろもろ
他のものは、日頃DIYをやるひとなら持っているものかと思うので、ササッとまとめます。
- 紙やすり(#600 – #1000)
- マスカー(床、壁を覆える程度)
- ワークベンチ(フレームなどが支えるもの)
手順①分解→やすり→洗浄→固定

フレーム以外のハンドルやチェーン、クランクなどをすべて分解し、しっかりと洗浄してください。
傷や凹凸が目立つ部分はヤスリを行い、ヤスリ粉はしっかりと洗浄して表面をサラサラにしてください。
洗浄が十分でないと、塗装ムラや剥がれの原因になってしまいます
洗浄後は、汚れてもいいものに固定してください。一晩放置したりするので、絶対におちないようにしましょう。
また、壁や床に飛び散ることを考え、マスカーはケチらずに全面に貼っておきましょう。
手順②プラサフ
ついに、塗装の第一段階です。プラサフを吹く場合は、目や呼吸器官に入らないよう、ゴーグルやマスクを必ず着用しましょう。
まずは細かいところを先に塗装して、大きな部分は最後に一気に吹き上げましょう。
また、ムラができないよう、15〜30cm程度離して、2-3回に分けて吹き付けましょう。
最後に、360度あらゆる角度からチェックし、吹き忘れがないか十分に注意してください。
吹き終わったあとは1晩放置すればいいので、この日の作業は終了です。
手順③カラー → クリア
細かな注意点はプラサフと同様なので、省略します。
カラーは薄く全体的に吹いて2度吹きすると、定着率が上がって強い塗装になります。
以上で、塗装方法の説明は終わりです。案外、簡単そうじゃありませんか?
実際にやってみて、様々なトラブルがあっても、塗装の問題なら走行には支障がないですし、最悪の場合はプラサフからやり直せばOKなので、気になる方は一度やってみてください。
失敗談
案外簡単だし、まあまあ見栄えもいいじゃん、ということで、まあまあ満足しているんですが、初めての作業だったので、なにかと問題が発生しました。
お恥ずかしながら、僕のやった失敗と、対策を紹介するので、皆さんは同じようなことにならないように注意してください。
ひび割れ

近寄ってよくみてみると、ピキピキとひび割れているのがわかります。
これは、古い溶剤を新しい塗料が侵食しまったことが原因です。要するに、一度に吹き付ける量が多くなってしまっている証拠です。
カラーやプレサフの際には、しっかり距離を離して(15〜30cm)、何度かに吹き分けるようにして薄く塗装しましょう。
凹凸(おうとつ)

まだ塗装したばかりなのに、クレーターのような陥没が!
これは、最初のヤスリがけが不足していたことにより、表面が十分に平坦になっていなかったことが原因です。
これくらい、塗装したら埋まるだろうと思って、中途半端にやすりをさぼらないようにしましょう。
ムラ

光の当たり具合によるものにも見えますが、塗装が薄い部分と濃い部分がまだらになっている状態です。
これは、吹き忘れですね。僕の場合、フレームを逆さまにして吹き付けていたので、真下に潜り込んで塗装しなければいけなかったのですが、そこでチェックを怠ってしまっていたようです。
塗装忘れ

ブレーキ部分の細かな箇所ですが、この面だけが塗装されていません。
ここは三角になっているため、いろんな角度から吹き付けないといけなかったんですが、細かな箇所を見落としていました。
塗装を始めると、飛び散った塗装で部屋中モクモクしているので、このような細かな塗装忘れを見逃すことがあります。
細かな箇所は、予め部位を覚えておいて、そこだけは最初に一気にやってしまいましょう。
おわりに
以上で、セルフ塗装の紹介とさせていただきます。
長年連れ添った相棒を手放すことなく、生まれ変わってもらえるので、さらに愛着が増して満足感たっぷりです。
実際、結構失敗箇所もおおいんですが、満足して乗っています。
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