

トライアスロンデビューしたいんだけど、どんなトレーニングすればいいの?
平日は仕事が忙しいし、3種目も練習できる気がしないよ。。。
今回の記事では、こんなあなたの疑問にお答えします。
本記事の内容
- 練習のポイント
- 1ヶ月目〜大会直前までの練習計画
- 3種目の練習バランス
自己紹介

この記事を書いている僕は、トライアスロンデビューして2年で日本代表に選ばれました。
社会人からトライアスロンを始めたので、限られた時間の中、トレーニングに励みました。
その経験を生かして、忙しいトライアスリートの皆さんにもできそうな練習計画を紹介します。
練習のポイント

具体的な説明に入る前に、意識してほしいポイントを解説します。
スイム:必ず週1日以上行う
水泳経験者でない方は、1.5kmのスイムが最もハードルが高いように感じるかと思います。
ランやバイクとは異なり、スイムは「水の感覚」を掴むことが重要です。
本来なら2日以上練習間隔をあけてしまうと、感覚が抜けてしまうのですが、仕事もある中、週4日でジムやプールに通うなんて、現実的ではないですよね。
せめて、週1日はプールに行き、水の感覚を取り戻したほうが、レベルアップにつながりやすいです。
水の感覚を取り戻す練習メニューには「スカーリング」というものがあります。
スカーリング
手を「8の字」に動かして、体を水中に浮かせる練習方法です。
水を掴む「キャッチ」動作の強化につながるので、毎回練習の始めに行いましょう。
プールにいかず、お風呂でもできるので毎日続けられます。
バイク:ケイデンスを意識する
ケイデンスは、ペダルの回転数のことですが、初心者はケイデンスを低くしがちです。
ケイデンスが低すぎると無駄に体力を消耗してしまいます。
高速巡航で最適なケイデンスは80-100rpmと言われています。
いきなり100rpmでペダルを回したら、お尻が跳ねてうまく力がだせません。
練習のうちに、腰と体幹を使って体を体を制することができるようになっておきましょう。
なお、ケイデンスを計測するためには、ケイデンスセンサー付きのサイコンが必要になります。
サイコン:「サイクルコンピュータ」の略
自転車の走行情報(時間、速度、ケイデンス、心拍数、パワー)を表示する装置です。
ラン:LSDでもいいので、毎日続ける
ランは、心肺機能が重要な競技です。
心臓や肺も筋肉で動いているので、動かさなければ機能が低下します。
それらの筋肉を動かすためには、心拍数を上げたり、呼吸を荒くする必要があります。
LSDなどの負荷の小さいトレーニングでも、毎日続けていれば、楽に走れるようになります。
LSD:Long Slow Distanceの略
歩かないギリギリの速度で、1時間以上走り続けるトレーニングメニューです。
心肺機能の向上や、筋力トレーニングに効果的です。
早寝早起きを徹底する
トライアスロンの大会の開始時刻は、朝8-9時くらいがほとんどです。
涼しい部屋での筋トレや、涼しいナイトランだけでは、日中の日差しに弱くなってしまいます。
早起きして、日差しを受けながらトレーニングしましょう。
また、いくら忙しいとはいえ、寝ずに練習することは危険です。
睡眠には、疲れなどからくる「老廃物」を除去する効果があります。
睡眠時間が長いほどパフォーマンスが上がりやすく、12時間睡眠のプロスポーツ選手もいるほどです。
仕事やトレーニングで忙しくても、6時間以上は睡眠を取るようにしましょう。
練習の目標

練習が続かない人の中には、目標を決めずにトレーニングをしている人がいます。
トレーニングの計画を建てる前に、具体的に練習における目標設定しておきましょう。
目標がないと「今日はこれくらいでいいや」と思ったら練習をやめてしまいます。
目標をあると、「目標まであと●●秒」など、パフォーマンスを客観視できるようになります。
ここでは、「完走ねらい」と「入賞ねらい」それぞれのレベルに分けて説明します。
完走ねらいの場合
ODで完走するためには、3種目合計51.5kmを4時間以内でゴールする必要があります。
そのためには、練習において下記の2つを練習での目標にしましょう。
- スイム:400m以上足付きなしで泳ぐ
- ラン:20km歩かずに走り続ける
OD:「オリンピック・ディスタンス」の略
下記の距離で行う競技のことです。
- Swim:1.5km
- Bike:40km
- Run:10km
- Total:51.5km
ほどよい距離なので、初心者のトライアスロンデビューにもおすすめです。
スイム
プール練習では水着を着用しますが、大会本番ではウェットスーツを着ます。
ウェットスーツのおかげで体が浮くので、水着だけの時よりも泳ぎやすくなります。
それによって、最低限の泳力さえあれば、泳ぎ切ることは難しくありません。
最低限、プールで400mを足をつかずに泳ぎ切るくらいの泳力があれば十分です。
そのためには、無理のない息継ぎができるよう、正しいフォームを身につける必要があります。
息継ぎができない人の特徴
腰に体重が乗っており、水面から顔が出てしまっている人が多いです。
肩重心を意識をすることで、フォームが改善されて、息継ぎがしやすくなります。
ラン
ランは最終種目なので、スイムとバイクで消耗した状態からスタートします。
完走がギリギリの選手であれば、ランに残される時間は80分/10kmくらいです。
8分/kmで走れば完走できますが、疲れた状態では体が思うように動きません。
一方、歩く速度は約15分/kmなので、半分歩くとタイムオーバーになります。
ゆっくりでもいいので、歩かずに最後まで走りきる必要があります。
練習では、本番の倍の距離が走れるよう、トレーニングを行いましょう。
年代別入賞ねらいの場合
年代別での入賞を狙う場合、2時間20分くらいでゴールする必要があります。
練習においては下記を目標にしましょう。
- スイム:1:20/100m × 400m
- バイク:FTP 4W/kg(体重) × 1時間
- ラン:37分/10km
日本代表に選ばれるコツ
年代別入賞(日本代表選出)は、「過去の大会リザルトのリサーチ」と「ライバル選手の別の大会のリザルト」などから、出場大会を厳選すれば、比較的簡単に達成可能です。
スイム
スイムは、後半パートにむけて体力を温存しつつ、上位でクリアする必要があります。
そのためには、集団で泳ぐのが有効です。
集団の中では、流れに沿って泳ぐので、軌道修正が少なく、ペースも他人任せです。
したがって、無駄な体力の消耗を抑えられ、泳ぎだけに集中できます。
ただし、集団から遅れないよう、1:20/100mくらいで無理なく泳げる泳力が必要です。
バイク
バイクは3種目の中でも最も競技時間が長く、全体順位に大きく影響します。
上位争いをする場合には、目標としている選手から大きく離されてはいけません。
上位は70分/40kmくらいなので、FTP計算ツールによると、必要なFTPは3.89W/kgになります。
それだけの出力が出せれば、バイクで遅れを取ることはありません。
ラン
ランは最終競技で、スイムとバイクの疲れが出てしまい、ランだけのタイムよりは遅くなります。
上位の選手でも、33分/10kmで走れる選手が37分/10kmくらいかかってしまうくらいです。
上位選手はランが強い選手が多いので、レース本番では40分/10kmで走る必要があります。
それを加味すると、練習の段階では37分/10km程度の走力が必要になります。
これを達成するためには、体力だけでなく、スピードも必要になります。
練習メニューの具体例

1ヶ月単位でのトレーニング計画
これまでトレーニングをやっていなかった人だと、練習を始めてもすぐには結果が出ない事が多いので、焦らずにできることからやりましょう。
下記のように4段階に分けて1ヶ月単位で計画を建てるのがおすすめです。

スイム練習
フォームを整えるためのフォーム練習と、スピード強化のためのスピード練習があります。
それぞれ、下記のように分類されます。
フォーム練習・・・スカーリング、フィンガーチップ、サイドキック、ハイポなど
スピード練習・・・ディセンディング、ブロークンなど
具体的な練習内容は、下記の記事を参考にしてください。
バイク練習
運動の強度に応じて練習の目的が異なります。
それぞれの練習名と、目安となる心拍数は下記のとおりです。
LSD・・・心拍数60-65%
メディオ・・・心拍数80-85%
ソリア・・・心拍数90%
タバタ・・・心拍数100%
具体的な練習方法は、下記の記事を参考にしてください。
ラン練習
運動の強度に応じて練習の目的が異なります。
それぞれの練習名と、目安となる心拍数・練習時間は下記のとおりです。
LSD・・・心拍数60-65%、60分以上
ペース走・・・心拍数65-78%、60分程度
インターバル走・・・心拍数88-92%、20-30分
最適な練習ペースや、具体的な練習内容については、下記の記事を参考にしてください。
呼吸筋トレーニング
息を吸い込むときの横隔膜の筋肉を鍛えるトレーニングです。
横隔膜を鍛えることで、上下半身のつながりをよくする効果もあります。
短時間(2-3分)でてきて、どこでもトレーニング可能なので、毎日やることをおすすめします。
1週間の練習スケジュール
仕事と家族との時間を先に確保すると、早朝と夜がトレーニングに充てられる時間になります。
早朝にランニング(LSD)を入れて、夜はローラー台を使ったトレーニングがおすすめです。
土日にはプールでの練習や、ヒルクライムなどの路上トレーニングを行いましょう。

トレーニング開始期(1-4週目)
トレーニングを始めたばかりの時期は、練習の頻度に体を慣れさせることが重要です。
練習時間や、強度は気にせず、とにかく練習を楽しんで続けられるようにしましょう。
「もう少し手応えのある練習がやりたいなー」となってきたら、次の段階に移りましょう。
この時期の練習メニューの目安は下記のとおりです。
- スイム:フォーム練習のみ
- バイク:LSD3:メディオ2
- ラン:LSDのみ
トレーニング継続期(5-8週目)
練習の頻度に慣れてきたら、いよいよ練習の「質」を高める時期になります。
徐々に強度も上げつつ、フォーム改善を意識しましょう。
「全力を出せばもっと早く走れるかも?」と思えるようになったら、次の段階に移りましょう。
この時期の練習メニューの目安は下記のとおりです。
- スイム:フォーム2:スピード1
- バイク:メディオ3:ソリア2
- ラン:LSD4:ペース走1
追い込み期(大会1ヶ月前)
いよいよ大会に向けて本格的にレベルアップに入ります。
この時期はとにかくキツイです。ここでは、高強度に体を慣れさせることが目的になります。
ここを乗り越えれるアスリートは大会でも結果が出せるので、最後まで頑張りましょう!
この時期の練習メニューの目安は下記の通りです。
- スイム:フォーム1:スピード1
- バイク:メディオ3:ソリア2:タバタ1
- ラン:LSD3:ペース走2:インターバル走1
ピーキング(大会1周間前)
大会が目前に迫ってきたら、トレーニングは一旦抑えましょう。
この時期は、大会当日のコンディション調整を目的とします。
食事と睡眠をしっかりとり、疲労や怪我を完全に回復させましょう。
この時期の練習メニューの目安は下記の通りです。
- スイム:フォーム練習のみ
- バイク:LSD+メディオ
- ラン:LSD+ペース走
トレーニングに必要な道具

これからトレーニングを始める方は、下記の道具は最低限揃えておきましょう。
必要な道具をそろえておくことで、練習の効果を最大限に引き出せます。
例えば、ローラー台がなければ、一定の出力で自転車を漕ぎ続けることはできません。
揃えれるものからでいいので、すこしずつ揃えていきましょう。
なにも持っていないという人は、まずはローラー台とGPSウォッチから入手しましょう。
スイム | バイク | ラン | その他 |
水着 | サイコン | GPSウォッチ | power breathe |
メッシュキャップ | ローラー台 | 筋膜ローラー | |
ゴーグル | ケイデンスセンサ | ||
ハートレートモニタ |
それぞれの説明とおすすめ商品は、文字をクリックしたら確認できるので、参考にしてください。
まとめ
トレーニングは継続が大切ですが、なんとなくやっているだけだと身になりにくいです。
どうせやるのなら、目的を意識しながらやってみましょう。
では、今日もトレーニング頑張りましょうね!
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